
そして、湖には「怪物(Loch Lomond Monster)」が潜むという地元の言い伝えがあります。
スペック
名前 | ロッホローモンド クラッシック |
タイプ | シングルモルト |
製造元 | ロッホローモンド蒸留所 |
アルコール度数 | 40度 |
容量 | 700ml |
購入時価格 | 3,340円(税込) |
冷やすとさらに美味しいクラシックという名の静かな奥行き
スコットランド・ハイランド地方の入り口、壮麗なロッホ・ローモンド湖の東岸に佇むロッホローモンド蒸留所。
設立は1964年と比較的新しいですが、その前身は1814年にまで遡るとされています。
長年にわたりブレンデッド用原酒の供給源としてその名を知られていました。
15年前、ウイスキー界において「ロッホローモンド」を語る人はほとんどいなかったでしょう。
地味なパッケージ、凡庸な味、そしてどこか“心のこもっていない製品”という印象。
それもそのはず、当時の主力はバルク供給向けであり、シングルモルトはほとんど後付けの商品展開でした。
現在はオーナー交代を経て、ブランドの見直しが進み、スタイルも視覚的デザインも洗練されてきました。
シングルモルトの分野でも独自の存在感を放ち始めています。
この蒸留所の最大の特徴は、その「蒸留技術の多様性」にあります。
伝統的なスワンネック型のポットスチルと、独自開発のストレートネックスチルの両方を駆使し、1つの蒸留所で多様なスタイルを造り分けています。
この自由度の高さは、スコッチ業界では極めて珍しいでしょう。
「ロッホローモンド クラシック」と「ロッホローモンド オリジナル」は、基本的には同じウイスキーであり、名称やパッケージデザインが異なるだけで、日本市場では「クラシック」として販売されており、海外市場では「オリジナル」として展開されているそうです。
ロッホローモンド蒸留所の“シグネチャースタイル”を体現したノンエイジのシングルモルトです。
シトラスとハチミツの甘さ、そしてわずかに感じるスモーキーな余韻。
これは蒸留所が自ら掲げる“典型的な風味プロファイル”を、そのままガラス瓶に封じ込めた1本と言えるでしょう。
原酒は、ストレートネック蒸留器とスワンネック蒸留器で個別に蒸留されたスピリッツをブレンド。
熟成にはバーボン樽、リフィル樽、リチャー樽という3種のアメリカンオーク樽を使用しています。
この設計の妙が、ロッホローモンドならではの“軽やかでスムーズな飲み口”と“複雑なバックグラウンド”を共存させています。
このクラシックの調和を司っているのが、マスターブレンダーのマイケル・ヘンリー氏。
ロッホローモンドの技術的な特性を熟知し、極めて滑らかな仕上がりに調整するその手腕は、かつて「地味」と言われたブランドの印象を見事に覆しつつある人物です。
また、同氏の監修下では、オークの影響をバランス良く反映させることに特に力が注がれており、それがクラシックにおける“親しみやすさ”の根幹となっているようです。
飲んでみた感想
香り
この香りを嗅いでいると、どこかクラシックな洋風建築が思い浮かびます。アンティーク家具がずらりと並んだ空間。その中のテーブルには、キャンドルがやわらかく灯っている――そんなイメージです。
もう少し具体的に言えば、「ニスの塗られた古い材木」のようなウッディな香りが印象的。おそらくこれは樽由来の香りでしょう。そして、ふわりとストロベリージャムのような甘さも感じられます。
ストレート
最初に強めのアルコール感と辛味を感じますが、そのあとに上品な甘みがじんわりと広がってきます。余韻にはその甘みと辛さがバランスよく残ります。
刺激がしっかりあるのに、なぜか口当たりはまろやか。不思議なバランスです。

加水
少量加水してみると、アルコールの刺激と辛味は抑えられましたが、その代わりにやや苦味と酸味が前に出てきました。そして、甘みはやや控えめになった印象です。
「こんなに味が変わるんだ…」と驚くほどの変化。
さらに加水して、いわゆる“トワイスアップ”にして飲んでみると、辛味・甘味・苦味がいずれも穏やかに。味が薄くなったわけではありませんが、個性が少しおとなしくなったような印象でした。

オンザロック
ウッディでほんのり甘口。程よい苦味もあって、とても飲みやすいです。
わずかに酸味やスモーキーさも感じられますが、それらは苦味に包まれているような、控えめな存在。全体として非常にウッディで、滑らかな飲み口です。

水割り
オン・ザ・ロックとよく似た味わい。水で割った分だけ軽やかにはなりますが、氷が溶けていくオン・ザ・ロックの終盤と、結局は似たような印象になるのだと思います。
改めて詳しく書く必要もないほど、オン・ザ・ロックと近い仕上がりです。

ハイボール
ストロベリーとキウイをミックスしたサワーのような風味。甘みと酸味、そしてほんのり苦味が絶妙に混ざり合っています。
そこにしっかりウッディさも加わって、全体としてはフルーティーでジューシー。わずかにスパイシーで、ややビターな印象も。
個人的には、「ウイスキーのドクターペッパー割り」と言ってもいいかもしれません。記憶が曖昧ですが、そんな風味に近い気がしました。

ウイスキーミスト
クラッシュアイスで作ったウイスキーミストは、ハイボールよりもほんの少し辛味と苦味が前に出てきますが、全体的にはそこまで大きく変わりません。
このウイスキーは、大きな氷でも細かい氷でも、ソーダ割りにするとだいたい似たような味わいになるのかもしれません。

総評
香りの印象を「クラシックな洋館のようだ」と例えましたが、その時点では「ロッホローモンド・クラシック」という名前を意識していませんでした。あとから気づいて、ちょっと笑ってしまいました(笑)。
個人的には、このウイスキーは冷やして飲むのが一番美味しいと感じました。ストレートや加水だと少し雑味が出てくるのに対して、オン・ザ・ロック、水割り、ハイボールではとてもクリアで、風味の輪郭がくっきりします。
「飲みやすいスコッチを楽しみたい」という時に、しっかり応えてくれる1本です。
甘味
酸味
苦味
辛味
燻味
塩味
刺激
コク
お気に入り度