ジョニーウォーカー ブラックルビー

ブレンデッド
ローズアイル蒸留所は超・ハイテク蒸留所。あまりに近代的すぎてスコッチの伝統がどうのこうの言われたけど、伝統を守って美味しけりゃいいんじゃない?

スペック

名前ジョニーウォーカー ブラックルビー
タイプブレンデッド
製造元ジョン・ウォーカー&サンズ
キーモルトカーデュ、タリスカー、ラガヴーリン、カリラ
熟成樽赤ワイン樽、シェリー樽(ペドロヒメネス、オロロソ)、バーボン樽
アルコール度数40度
容量700ml
購入時価格3,487円(税込)

“いつものジョニー”を裏切る味・・・でも、クセになるか

200年以上の歴史を誇るスコッチウイスキーの名門ジョニーウォーカーから、革新の香りを纏った新作が登場しました。
伝統と実験精神が見事に融合した、まさに“甘美なる挑戦”です。

ジョニーウォーカー ブラックラベルの系譜を受け継ぎながら生まれた新たな個性
「ジョニーウォーカー ブラックルビー」は、ジョニーウォーカーの象徴的存在であるブラックラベルを礎としながら、その風味をさらに甘く、華やかに昇華させたブレンデッド・スコッチウイスキーです。
甘くなめらかな口当たりに、フルーティーなベリーの香りが広がり、まるで果実のリキュールを思わせるほどの豊かさを誇ります。

このウイスキーの特徴は、なんといっても「甘さと力強さの共存」。
スモーキーなスコッチの骨格を保ちながら、赤ワイン樽やPXオロロソ・シェリー樽、バーボン樽など、複数の熟成樽を駆使することで、キャラメルやバニラのような甘いニュアンスが幾層にも重なります。
一口ごとに味わいの奥行きが広がり、まさに“風味の爆発”と呼ぶにふさわしい。

ブレンドの中核を担うのは、ディアジオ社が誇る最先端のローズアイル蒸留所。
そのモルトは、かつてないほど多く使われており、「ジョニーウォーカー ブラックルビー」の甘さと滑らかさを支える大きな柱となっています。
この蒸留所は2010年にスコットランド・エルギン郊外に建設され、持続可能性を追求した先進的な設計で、数々の建築賞も受賞。
2023年には初のシングルモルトをリリースし、2024年からはブラックルビーに本格採用されました。
その他、クライヌリッシュ、グレンキンチー、カードゥ、キャメロンブリッジ、そして軽いスモーキーさをもたらすカリラの原酒も絶妙にブレンドされています。

この革新的なボトルを手がけたのは、ジョニーウォーカー史上初の女性マスターブレンダー、エマ・ウォーカー博士。
2022年の就任以来初のコアレンジ開発となったこのブラックルビーは、彼女の情熱と繊細な感性が光る一作です。
ウイスキーに“女性らしさ”を加えるというより、あくまで新たな表現を模索する姿勢が印象的です。

「ジョニーウォーカー ブラックルビー」は2024年、メキシコシティ、シドニー、サンファンといった都市で試験的にリリースされ、各地で注目を集めました。
甘く贅沢な味わいはストレートはもちろん、カクテルにも相性抜群。
これまでウイスキーに親しみがなかった層にも、手を伸ばしやすい新しいジョニーウォーカーの提案といえるでしょう。

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飲んでみた感想

香り

まず感じるのはスパイシーな印象。
七味唐辛子のようなピリッとした辛さと、ミントのようなすっと抜ける清涼感が重なり合います。
さらに、灯油を思わせる香りもあり、アルコールの刺激は強め。
しかしそれはエタノールやメタノール的な鋭さではなく、どこか石油系に近い印象です。
「石油」と聞くとネガティブな印象を持たれるかもしれませんが、これはあくまでも“良い香り”としてのニュアンス。
また、柑橘系の香りも感じられ、酸味の強いレモンというより、やや甘めのオレンジを思わせます。

ストレート

口に含むと、まず辛味の強さが印象的。
スパイシーで、酸味もしっかりとあり、そこにわずかな塩味が加わります。
余韻にはかすかな苦味と、ほのかなスモーキーさが顔を出します。
全体としては「辛口」といえる味わいです。

加水

少量の加水で、辛味が和らぎ、ほんのり甘さが出てきます。
それ以上に際立ってきたのが、塩味とスモーキーさ。
酸味も程よく残り、個人的にはストレートよりもバランスが良い印象です。

さらに加水してトワイスアップにすると、全体の味わいがフラットに。
甘味、辛味、苦味、塩味、燻味などが均等に感じられます。
ただし、すべての要素が少しずつ薄まっており、良くも悪くも個性のない、落ち着いた味わいになります。

オンザロック

冷やすことで渋みとスモーキーさが前面に。
苦味というよりは、どちらかというとコーヒーのような渋みで、ビターチョコのような印象とは異なります。
余韻には塩味、辛味、そして甘味が残り、コク深い味わいに。

水割り

苦味と酸味のバランスが非常に良く、そこにスモーキーさ、甘味、塩味、辛味といった要素が奥で控えめに存在しています。
渋みやスモーキーさが苦手でなければ、非常に楽しめる一杯になるでしょう。
個人的には美味しいと思いますが、好みは分かれるかもしれません。

ハイボール

非常にドライで、酸味が際立ちます。
氷が溶けることで徐々に甘味とスモーキーさが顔を出し、奥行きが生まれます。
この味を好む方にはたまらない仕上がりですが、ストライクゾーンはかなり狭めかもしれません。

ウイスキーミスト

甘味、酸味、塩味、苦味という順で味が立ち上がります。
ここで初めて甘味が主役に躍り出てくる印象。粒の細かい氷でソーダ割りにすることで、より多くの人に受け入れられる味になると思います。
あくまで個人的な感想ですが、非常に美味しくいただきました。

総評

甘味、酸味、塩味、苦味という順で味が立ち上がります。
ここで初めて甘味が主役に躍り出てくる印象。粒の細かい氷でソーダ割りにすることで、より多くの人に受け入れられる味になると思います。
あくまで個人的な感想ですが、非常に美味しくいただきました。

今回試飲したジョニーウォーカー ブラックルビーは、価格帯こそ「ジョニ黒」と同程度ですが、味わいはまったくの別物です。
ジョニ赤、ジョニ黒、ダブルブラック、グリーンラベル… これまでのジョニーウォーカーのラインナップにはある種の一貫性があり、万人受けする味わいが共通していました。
しかしブラックルビーは、その流れとは明確に一線を画しています。
見た目も高級感があり、味わいも“攻めて”います。そしてこの価格なら、コストパフォーマンスは非常に高い。

とはいえ、問題は「好みに合うかどうか」。
途中でも述べたように、ストライクゾーンは狭く、人によって評価が大きく分かれるでしょう。
「ジョニーウォーカーらしさ」という安心感を求めて飲むと、やや裏切られたように感じる方もいるかもしれません。
むしろ、まったく別のブランド名を冠していたほうが受け入れられやすいのでは? と思うほどです。
このブラックルビーは限定品ではなく、通常ラインナップとして展開される予定とのこと。
今後、評価の広がりやデザインの変更など、動向が気になるところです。

最後に。
「ドライなハイボールを求めている方には、文句なしにおすすめ!」
それが私の結論です。

甘味

3.0

酸味

5.0

苦味

6.0

辛味

6.0

燻味

4.0

塩味

5.0

刺激

4.0

コク

5.0

お気に入り度

7.5

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