ちなみにスカイ島はskyではなくて、skyeだよ。
スペック
名前 | タリスカー 10年 |
タイプ | シングルモルト |
地域 | アイランズ(スカイ島) |
製造元 | タリスカー蒸留所 |
アルコール度数 | 45.8度 |
容量 | 700ml |
購入時価格 | 4,620円(税込) |
しっかりピートが効いているのに優しくて華やか
タリスカーの生みの親、ヒューとケネスのマカスキル兄弟がスカイ島にやってきたのは1827年のこと。
少し南に下ったエッグ島出身でスカイ島に羊を運ぶ仕事をしていました。
もっと稼ぎたいと考えた兄弟は、当時スコットランドでウイスキーの生産が盛んだったことから、ロッホ・ハーポートという汽水湖の沿岸に面した村のカーボストに「タリスカー蒸留所」を建築します。
タリスカーの名は、兄弟が蒸留所建設中に滞在した「タリスカー・ハウス」にちなんで名付けられたといわれています。
カーボストは羊を飼うためという名目で借りた土地だったため、地元の人々からの反対に遭いましたが、兄弟のウイスキー造りへの情熱と信念により、1830年に念願の蒸留所を開業できました。
しかし、ウイスキー事業は成功せず破産、1848年には銀行に経営権が渡り、その後 オーナーは次々と変わっていきます。
辺鄙な場所にある蒸留所を存続させるのは困難な状況でした。
1880年、ロドリック・ケンプとアレキサンダー・アレン が蒸留所を買い取り、敷地を拡張して蒸留所の桟橋を建設したとき、タリスカーが変わったと言われます。
1895年にアレンが亡くなると、トーマス・マッケンジーが経営を引き継ぎ、3年後にはダルユーインおよびインペリアル蒸留所と合併し、ダルユーイン・タリスカー・ディスティラーズ社となりました。
1916年にマッケンジーが亡くなると、ジョン・ウォーカー&サンズ、ジョン・デュワー、W・P・ローリーと DCLが主導権を握り、品質が向上していきました。
1920年〜40年代にかけて、大恐慌や第2次世界大戦により、スカイ島の他の蒸留所は撤退。
タリスカー蒸留所にも不遇の時代が訪れます。
1960年には、蒸留所で火災が発生し、戦後最大の危機に見舞われましたが、スタッフの再興に向けての情熱と不屈の努力により、蒸留所は2年後に復活できました。
1982年、当時タリスカー蒸留所を所有していたDCL社は40程度の蒸留所を所有していました。
その頃のスコッチウイスキーのほとんどはブレンデッドスコッチウイスキーであり、タリスカーもジョニーウォーカーなどの貴重な原酒として重宝されていました。
シングルモルトの個性的な味わいを広めたいとタリスカー8年がリリースされましたが、シングルモルトにほとんどの人は見向きもされませんでした。
その後DCL社は買収されてしまいます。
新しい所有者であるユナイテッド・ディスティラリーズ社(現在のDIAGEO社の前身)は必ずシングルモルトの時代が来ると、所有する蒸留所から各地域を代表する6つの蒸留所のモルトをボトリングした“クラシックモルトシリーズ”を1988年にリリースします。
その際にアイランズモルトの代表として選ばれたのがタリスカー蒸留所。
リリースされたのが 「タリスカー10年」でした。
「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」などの著書があるR.L.スチーブンソンも「King o’Drinks(酒の王様)」と絶賛する、タリスカーの代表的商品になっています。
蒸留所は「TALISKER」と書かれた白亜の壁面と紺碧の屋根のコントラストが印象的で、満潮になると蒸留所の水際まで海水がせり上がり、その姿を水面に映し出します。
タリスカーのすべてのラベルに書かれている「MADE BY THE SEA」。
「ミストアイランド(霧の島)」と呼ばれる厳しい海洋性気候の島で育てられてきたタリスカーの特徴は、まるで潮風を味わっているかのような風味にあります。
「MADE BY THE SEA」とは、生産者たちがスカイ島の自然の恵みと海への深い感謝を表すと同時に、生まれ故郷の自然をまさに体現したシングルモルトであることを示す言葉なのです。
タリスカーの透明なガラス瓶にはスカイ島の地図が描かれたクラシックなラベルが貼られています。
アメリカンオーク樽で最低10年熟成されたモルトはアルコール度数45.8%でボトリングされ、約18〜22ppmのフェノール値までピーティングされています。
2021年にはパッケージリニューアルを施し、箱とラベルにはタリスカー蒸留所を中心に、海と交わるロッホ・ハーポートなどスカイ島の一部を鮮やかなオレンジのラインで縁取り、型抜きされています。
飲んでみた感想
香り
ベンジンのような匂いと甘いレーズンの香りが同時に襲ってきたような感じです。
本革張りのソファーの匂いも感じられてピートも香っていますね。
そして醤油におろしたてのわさびを混ぜた時の匂いもあるんですよ。
何度か嗅いでいるうちにバースデーケーキの匂いもしてきました。
つまりホールケーキの上に立てたろうそくが燃えている、その全体の香りっていうことですね。
ストレート
かなり辛口で塩味も強く、そしてアルコール刺激もそこそこありますね。
その後から甘味が追いかけてきて、その後また塩味、後味の余韻に苦味といった感じです。
スモーキーなんだけど、マイルドなピート感なんですよ。
アイラ系ウイスキーのようなガツンとくるピートとはちょっと違っていて、優しい燻味だと思います。
いろんなウイスキーを飲んで、またタリスカーに戻ってきてみると・・・このスモーキーさはタリスカー独特のものだなと感じました。
これにハマッたらタリスカーひとすじになっちゃうと思います。
加水
水を少しだけ足してみます。
塩味と甘味が前に出てきて他のテイストは少し優しくなったのかな。
あいかわらず後味に苦味がありますしマイルドなスモーキーさもしっかり味わえます。
もう少し水を加えてトワイスアップにしてみます。
これだけ水を加えると最後まで残ったのは甘味ですね。
けれど、バックグラウンドには一貫してスモーキーさがあります。
後味にちょっぴり苦味があるもののとても軽やかで飲みやすい感じですよ。
繰り返しになっちゃいますけど甘口でスモーキーなウイスキーといった印象です。
オンザロック
とってもコクのあるオンザロックですね。
苦味、塩味がちょっと強めでスモーキーな味わいです。
それに加えてオイリーでウッディ。
甘味や辛味もあるにはあるんですけど、苦味や塩味に蓋をされちゃってるようで、奥の方にちょっぴり感じるだけです。
その封印されている甘みがしっかりあるからでしょうか、とてもまろやかな口当たりです。
水割り
ちょっぴり辛口だけど甘くてスモーキーな美味しい水割り。
後味にフルーティーさと苦味が 程よく感じられます。
水割りはあまり好きではないのですが、タリスカーは別ですね。
僕がこのタリスカーにハマったきっかけは、おそらく水割りだったと思うんですよ。
水割りがとても美味しいです。
スモーキーウイスキー入門編として、タリスカー10年水割りはおすすめかな。
ハイボール
甘くてジューシーでスモーキーといった、とても美味しいハイボールです。
酸味もしっかり効いていますし、程よい苦味もあって、潮の香りを連想させるようなほんのり塩味も感じられる華やかな味わいじゃないでしょうか。
何杯でもおかわりしたくなるような美味しさです。
ハイボールだけで言ったら百点満点つけちゃってもいいかな。
ウイスキーミスト
ハイボールよりもちょっぴり辛口になりました。
言い方を変えるとハイボールよりも甘さ控えめ。
渋めなスモーキーさを求めるならロックアイスのハイボールよりも、このクラッシュアイスのウイスキーミストかなと思います。
僕はハイボールの方が好きです。
総評
このサイトを始めるきっかけのひとつになったタリスカー10年なんですが、今回その原点回帰という感覚。
ラベルデザインが変わったことで、味も変わったと言う人もいるし、変わってないと言う人もいますよね。
今回は比較ではなくて新デザインのタリスカーを純粋に飲んでみました。
旧デザインのものとおそらくそれほど違わないと思うんですけど、 とにかく美味しいウイスキーです。
スコッチウイスキーに必要な味の要素を全てバランスよく持っているのではないでしょうか。
タリスカーを初めて飲んだ時にピーテッドなスモーキーフレーバーというものに初めて触れて、ハマって今にいたります。
その後に、アイラのウイスキーで初めて飲んだのがラフロイグ、次に飲んだのがアートベックだったんですが、どちらもピートが強すぎて・・・と言うかスモーキー過ぎて、すぐに口直しにタリスカーを飲んでしまった、ということを覚えています。
今はがっつりピートが効いていても全然問題なく飲んではいるんですけど、久々にタリスカーを飲んでみると、こんなにピートが効いているのに優しくて華やかで奥行きのある味わいだったんだなって改めて感じました。
このバランスの良さが全てだと思います。
甘味
酸味
苦味
辛味
燻味
塩味
刺激
コク
お気に入り度