トマーティン レガシー

シングルモルト
アメリカではゲール語で「遺産」を意味する「トマーティン・デュアルチャス(Dualcha)」として販売されています。
アメリカ人はロマンチックな響きのゲール語の名前に惹かれちゃうんですかね。

スペック

名前トマーティン レガシー
タイプシングルモルト
地域ハイランド
製造元トマーティン蒸留所
アルコール度数43度
容量700ml
購入時価格3,937円(税込)

甘さ控えめながら柔らかい飲みごたえ

トマーティン蒸留所はハイランド地方の州都インヴァネス近郊、モナドリアス山脈の標高315mの位置で操業している、スコットランドで高所にある蒸留所のひとつです。
ゲール語のトム・エイティン(Tom Aitinn)、「ジュニパーブッシュの丘」と言う意味に由来するほど、燃やしても煙が出ないジュニパー材をたくさん入手できる場所でした。
そのため非公式ではありますが、1700年代から秘密裏に違法な蒸留を行って、牛飼いたちが購入していたとの話があります。

1892年、ハイランド鉄道の最終ルートがトマティンを通ることが発表され、これを機にトマーティンで生まれ育った地元出身のジョン・マクドゥーガルは蒸留所設立の計画を始めました。
1897年、トマーティン・スペイ・ディスティラリー社が設立。
当時、地元には労働力がなく、羊飼いや牛飼いが点在しているような人里離れた牧歌的な環境でした。
労働力を集めるためのプロジェクトを開始。
以来、地域社会の中心となるべく職人たちに住居を提供する数少ない蒸留所のひとつであり、これは現在も受け継がれています。

1985年からスチルを増設し始め、スコットランドの主要なブレンド用ウイスキーの大規模生産を行い、1970年代には最終的に年間1,250万リットルのウイスキーを生産するまでに至ります。
1987年になるとスコットランド最大のモルト蒸留所と称されていましたが、1980年代半ばからスチルが解体されて、総生産能力は500万リットルとなってしまいました。

1906年に倒産、1909年に新たな所有者の下で再開するも、1970年代スコッチウイスキーの低迷から1986年にまた所有者が清算することになりました。
蒸留所は1986年に宝酒造と大倉商店が買収し、社名はトマーティン・ディスティラリー社に変更しました。
現在も宝酒造が筆頭株主です。

トマーティン蒸留所は近年、シングルモルトの商品の拡充に努めています。
「トマーティン レガシー」は2013年に同蒸留所のノンエイジウイスキーのエントリーモデルとして発売されました。
アルト・ナ・フリス・バーンの天然の軟水を使用した「トマーティン レガシー」は、海抜の高い場所で穏やかに熟成させることでハイランドのシングルモルトウイスキー特有の繊細さと、バーボン樽とヴァージン オーク樽の異なる樽を使用した個性的な風味を感じられます。
80%は7〜8年熟成のファーストフィルバーボンで、残りの20%はヴァージン オークの4年熟成と言われています。
ヴァージン オークの樽はケンタッキー州の木材専門家ケルヴィン・クーパレージから送ってもらって可能な限り高い水準を確保しているそうです。

多くのボトルが賑わう棚ではあまり目立たないかもしれないですが、キャップの上面には、ブランドロゴの豚が刻印された木製のコルクが特徴的なデザインになっています。

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飲んでみた感想

香り

新築住宅の和室にいるような匂いですね。
畳だったり襖や柱の匂いも感じるような気がします。
そしてさらに言うと、そんなお部屋でお茶をいただきながら最中を食べてる、という雰囲気を感じる香りです。
なんだか分かったようなわかんないような表現になってしまいましたが、僕の率直な感想はこんな感じですね。

ストレート

なかなか新鮮というか、新しさを感じます。
塩味と透き通ったような苦味。
甘さはかなり控えめですが、すっきりと飲みやすいです。
そしてスモーキーではないんだけど、ピートを感じます。
後味は玉露と塩昆布といったところでしょうか。

加水

水をちょっとだけ足して飲んでみたんですけど、塩味、辛味、苦味、そしてちょっぴりピートといったところでしょうか。
ストレートの時はあまり感じなかったアルコール刺激を結構感じます。
おそらくストレートの時にも、かなりその刺激はあったんでしょうけど、他の味わいの方が勝ってたように思います。

もう少し水を加えてトワイスアップにしてみます。
水ちょい足しと基本的には同じような味わいなんですが、アルコールは抑えられてピートが強まったかな。
ここでのピートはアイラモルトのようなスモーキーな感じではなく、 スペイサイドモルトの「うっすらピート」ですね。

オンザロック

塩味が強いですね。
そしてかなりオイリーな口当たりです。
後味に辛味と苦味、そしてちょっぴりピートかな。
少し氷が溶けてくると酸味がわずかに出てきて、それが絶妙な美味しさになっていると思います。
時間をかけてじっくり飲んでいくと美味しくいただけるんじゃないでしょうか。

水割り

苦味と辛味が前に出てきて、後から塩味が追っかけてくる感じでしょうか。
後味はやはりほんのりピートですね。
甘さは相当控えめですね。
甘味は一体どこにあるのっていうくらい感じません。

ハイボール

まず苦味と塩味を感じました。
うっすらと酸味、そしてやはりピートというところでしょうかね。
ちょっぴりいちごを思わせるフルーティーさもあります。
初めに香りを嗅いだ時、和室のようと言ったんですが、このハイボールの後味はなんとなく「い草」のような。つまり畳ですよね。
そう言った趣きを感じたかな。

ウイスキーミスト

苦味、甘味、塩味、そしてピートですね。
ウイスキーミストでようやく甘みが前に出てきた感じです。
でも甘味が主役ではなく、苦味や塩味なんですけどね。
この「トマーティンレガシー」をいろんな飲み方で味わってきましたが、ウイスキーミストはかなり美味しくいただける飲み方ではないのかなと思います。
でもこれはあくまでも僕の個人的な感想です。
好みはかなり分かれると思いますよ。

総評

ストレートからウイスキーミストまで様々な飲み方をしてみて、一貫して塩味と苦味、そしてうっすらピートというのはありましたね。
どんな飲み方をしてもぶれない頑固さみたいなのが感じられました。
僕も感想として甘さ控えめとか、甘味はあんまり感じないとか随所で言っていたんですが、実はなんとなく奥の方に甘味を感じてはなくはなかったという部分はあります。
微妙な表現になってしまいましたが、甘みが奥に潜んでいるからこそ、他の味わいが引き立っているんじゃないでしょうか。
これも何度か言ってますが、このウイスキーは今まで飲んできたスコッチウイスキーとちょっぴり違う趣があり新鮮な味わいだったと思います。
値段も一部のスーパーではネット通販などよりも安く買えたりするので、是非一度飲んでみてはいかがでしょうか。

甘味

1.0

酸味

3.0

苦味

6.0

辛味

5.0

燻味

3.0

塩味

7.0

刺激

5.0

コク

6.0

お気に入り度

8.5
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